東京連合会では2月12日、鶯谷にある書道博物館の「王羲之と蘭亭序」のギャラリートークに参加してまいりました。
関連イベントとして東京国立博物館でも連携企画20周年「王羲之と蘭亭序」が開催されています。
まず書道博物館の成り立ちを紹介します。
創設者は画家であり書道家である中村不折です。
1936年に今ある台東区根岸にオープンしました。
地盤が固く、敷地内に建てられた蔵は関東大震災にも東京大空襲にもそのまま残ったそうです。
中には不折が正岡子規と共に日清戦争従軍記者として中国に渡り、朝鮮半島を巡り、拓本や漢字成立の参考になる資料を買い求めた貴重な物も数多くあるそうです。
敦煌の隠し部屋を想像してしまいます。
ギャラリートークを担当して下さった学芸員の中村信宏先生は書道を書くのも好きで、中国史を熱心に研究されトークも楽しく入館者を飽きさせない方です。
幼少時代は文化書道の教室に通い知事賞を頂いたこともあるそうです。
大学生の時も書道をされていたとのこと、館内の案内板も中村先生の自筆で、とてもユニークな書体で楽しめます。
王羲之は最晩年に伝統の束縛から離れ、普遍的な美しさを備えた先進的な書法を獲得し、後に書聖と崇められています。
永和九年に王羲之は会稽山陰の蘭亭に名士41人を招いて流觴曲水の雅宴を催し、宴で詠まれた詩集の序文を揮毫しました。
これが世に名高い「蘭亭序」です。
館内には蘭亭曲水図軸も展示されており、貴族階級の宴の様子が垣間見られます。
しかし杯が流れてしまっても詩歌が出来ないとバケツ一杯もの酒を飲まされたと聞くと、あまり優雅とも言えませんね。
残念なことに本物の「蘭亭序」は王羲之の書をこよなく愛した唐の大宗によって奪われ、大宗の崩御の際に副葬されてしまったとのことです。
今ある物は大宗が作らせた模本や拓本ですが、それでも素晴らしいです。
隣のケースには「興福寺断碑」や「集王聖教序」も展示され、王羲之の書風を感じました。
日本で使われている文字にも王羲之の書風が生かされていると聞き、偉大さを感じました。
また黄庭堅の「伏波神祠巻」も展示されおり、力強い書で圧巻でした。
書の達人は、一発でまとまった書が書けるのだそうです。
今回の企画は見応えがあり、書を学ぶ私たちにとって大きな刺激となりました。
連携して展示されている国立博物館も訪れてみたいと思った一日でした。
矢野玉記
大賞
準大賞
努力賞
準努力賞
奨励賞
準奨励賞
代々木文化学園賞
文化書道学会賞
審査員特別賞
団体賞